生物の発生 カタユウレイボヤ発生過程の観察 Windowを閉じる
 
 
1〜2細胞期 −卵細胞質再配置−  
 
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[01] Conklin (1905)が観察した黄色い細胞質は,筋肉になる細胞に受け継がれていくことからマイオプラズムと名付けられた。マイオプラズムの他にも,外胚葉に受け継がれるエクトプラズム,内胚葉に受け継がれるエンドプラズム,脊索や神経に受け継がれるコーダ・ニューロプラズム,間充織に受け継がれるカイモプラズムが見分けられる。 これらの細胞質にはそれぞれの組織を分化させるために必要な決定因子が含まれていると考えられた。2000年,西田らはマイオプラズムに存在する筋肉細胞決定因子の実体が母性mRNAとして存在するmacho遺伝子であることを明らかにした。
フタスジボヤのマイオプラズム
フタスジボヤのマイオプラズム
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[02] マイオプラズムは,ホヤの種類により異なった色合いを呈する。ユウレイボヤでは,黒っぽい色合いを呈している。受精後複雑な動きを示し,予定筋肉割球へと受け継がれ,幼生の尾の筋肉細胞へと受け継がれていく。
ユウレイボヤの初期発生の様子
ユウレイボヤの初期発生の様子
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[03] 1細胞期における卵内の細胞質の動きは大きく2つの段階に分けられる。未受精卵ではマイオプラズムは動物極以外の表層に局在している。受精直後,表層のアクチンネットワークが収縮し,表層のマイオプラズムを植物極に局在させる。この過程は,第一細胞質再配置と呼び,約5分で終了する。この過程は,アクチン繊維が移動の原動力として働いている。 その後,表層のアクチンネットワークの収縮に伴い植物極付近に移動した精子核から精子星状体が発達し,後方赤道部へと移動を開始する。この精子星状体の動きに伴って,植物極のマイオプラズムは後方赤道部へと引きずられ,新月環を形成する。この過程は,第二細胞質再配置と呼び,精子星状体の移動の続く第一卵割まで続く。この過程では,微小管が移動の原動力として働いている。この新月環を正中面で二分するように卵割面が入り,2細胞期となる。その後,植物極後方の予定筋肉割球がマイオプラズムを受け継いでいく。
卵細胞質再配置の模式図
卵細胞質再配置の模式図
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[04] こういった細胞質再配置とともに,減数分裂の進行に伴って第一,第二極体が順次放出される。これら一連の細胞内の動きは想像以上に大きなもので,発生のダイナミックさと巧妙さを実感できる。
 動画 :
QuickTime高画質(720×480pixel:17.4MB)
QuickTime低画質(360×240pixel:1.5MB)
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