生物の発生 発生について Menuへ
 
 
   発生とは,たった一つの細胞である卵から親の形を作り上げる過程のことを言う。この発生過程では,卵と精子の出会いである「受精」,卵の中で様々な分子の配置換えが起こる「細胞質再配置」,たった一つ細胞である卵が増殖を開始する「卵割」,細胞の性質が変化する「細胞分化」,細胞が移動し,細胞相互の位置関係が変化し,組織や器官を作っていく「形態形成」,幼生から成体へと劇的に変化する「変態」など様々なイベントが起こる。これらの詳細を理解しようとすると,それぞれの局面をクローズアップし,断片的に解析することになる。実際,発生学の研究はそのようにして発展し,多くの教科書が研究の流れに沿って発生現象を断片的に紹介している。しかし発生とは,様々なイベントが胚という三次元空間の中で,時間的にもうまく統合されて進行していくもので,四次元で正確にコントロールされた生命現象なのである。