今日、新聞その他のメディアで環境問題が語られない日はないといってもまったく過言でない今日この頃、理系の学生諸君のみならず文系学部諸氏も何が環境問題を引き起こしているのか、そしてその問題となる物質はいかほど我々の環境中に存在しているのかを知らねば、環境問題を語ることは出来ないでしょう。なぜならば、どれだけの毒性を持った物質が環境にあれば我々の生活に影響を与えるのか、或いは自然界はどれだけの影響を受けるのか、これは絶えず環境問題の議論の中心であり、研究が進むにつれてそのしきい値は変わり続けるからです。環境中の物質を測定する方法は、絶えず進化を続けており、ここ10年をとってみても革新的な方法がどんどん生み出され、新たな物質を環境中から測定することを可能にしております。言い換えれば、まだ我々の環境はそれ程深く理解されていないと言っても良いでしょう。このような、状況の中で私たちは環境を更に理解するために、環境中に存在する物質はどのような方法で測定されているかを知らなければなりません。雨に含まれる酸性物質、河川水中の内分泌攪乱物質、土壌中の有害金属等々、測定方法は年々進化し続けておりますが、その基本となるべき原理はそれ程変わってはおらず、この部分を理解することで、私たちは環境計測に対して基本を学び、実際の問題にアプローチすることが出来るのです。皆さんとともに、環境を測るためにはどのような装置が必要で、それはどんな原理で使用されているのかを学んでいきたいと思います。