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modern american economy
現代アメリカ経済早分かり
稲田義久


 戦後のアメリカ経済のパフォーマンスが一目でわかるように以下のような表や図を用意しました。長い時系列があり、かつわかりやすいという条件でデータを厳選しました。アメリカ経済を理解するための基本指標として、(1)実質GDP、(2)民間非農業労働生産性、(3)消費者物価指数(CPI)、(4)失業率と(5)悲惨度指数を用意しました。データの出所や単位また入手可能なホームページ・アドレスは以下に記載しておきました。

表1 アメリカ経済基本指標データ
データ単位出所HPアドレス
実質GDP10億ドルDepartment of Commercehttp://www.commerce.gov
民間非農業労働生産性指数1662=100Bureau of Labor Statisticshttp://www.bls.gov
CIP1982-84=100Bureau of Labor Statisticshttp://www.bls.gov
失業率%Bureau of Labor Statisticshttp://www.bls.gov

実質GDP(Real Gross Domestic Products)は経済の状況がわかる最も包括的な指標です。実質GDPの成長率は、一国の財・サービスの生産の伸び率であるとともに、実質所得の成長率です。実質GDPはインフレを調整した1996年価格で表示されています。同データは商務省(Department of Commerce)が定期的に発表しています。

民間非農業労働生産性指数(Non-farm Business Labor Productivity Index)は民間非農業部門における労働生産性の動向を示しています。労働生産性指数は生産指数を投入労働時間指数で除したもので、1992年が100です。定義からわかるように、労働生産性は一種の経済効率性を表しています。同指数は労働省統計局(Bureau of Labor Statistics, Department of Labor)が定期的に発表しています。

消費者物価指数(Consumer Price Index)は消費者の生計費水準を表す指数で、同指数の上昇率はインフレの重要な尺度とみなされています。消費者物価指数が安定していると実質所得は安定しますが、インフレ率が上昇します目減りします。同指数は労働省統計局が定期的に発表しています。

失業率(Jobless Rate)も国民の厚生を表す重要な指標です。失業率は労働の需要と供給の関係を示す指標ですから、失業率が低下すると一般的に賃金率に上昇圧力がかかります。賃金率の上昇はインフレ加速につながりますから、金融当局は失業率とインフレ率との関係に最新の注意を払います。失業率は労働生産性指数や消費者物価指数とともに労働省統計局が定期的に発表しています。

悲惨度指数(Miserable Index)は消費者物価上昇率と失業率の合計で定義されます。インフレが高まり失業率が上昇すれば悲惨度指数は上昇します。インフレ率や失業率が上昇すれば国民生活は悪化するわけですから、悲惨度指数は国民の生活に対する不満や不安度を表すよい指標と思われます。

表2 アメリカ経済基本指標
  実質GDP:
1996年価格
労働生産性:
民間非農業
CPI 失業率 実質GDP
成長率
労働生産性
上昇率
CPI上昇率 悲惨度指数 大統領
10億ドル 1992=100 1982-84=100 % % % % %  
1945 1693.3   18.0   -1.2   2.3   トルーマン
1946 1505.5   19.5   -11.1   8.3  
1947 1495.1 36.7 22.3   -0.7   14.4  
1948 1560.0 37.7 24.1   4.3 2.7 8.1  
1949 1550.9 39.0 23.8 5.9 -0.6 3.4 -1.2 4.7
1950 1686.6 41.7 24.1 5.3 8.7 6.9 1.3 6.6
1951 1815.1 42.7 26.0 3.3 7.6 2.4 7.9 11.2
1952 1887.3 43.6 26.5 3.0 4.0 2.1 1.9 4.9
1953 1973.9 44.6 26.7 2.9 4.6 2.3 0.8 3.7
1954 1960.5 45.5 26.9 5.5 -0.7 2.0 0.7 6.2 アイゼンハウアー
1955 2099.5 47.4 26.8 4.4 7.1 4.2 -0.4 4.0
1956 2141.1 47.0 27.2 4.1 2.0 -0.8 1.5 5.6
1957 2183.9 48.2 28.1 4.3 2.0 2.6 3.3 7.6
1958 2162.8 49.3 28.9 6.8 -1.0 2.3 2.8 9.6
1959 2319.0 51.3 29.1 5.5 7.2 4.1 0.7 6.2
1960 2376.7 51.9 29.6 5.5 2.5 1.2 1.7 7.2
1961 2432.0 53.7 29.9 6.7 2.3 3.5 1.0 7.7 ケネディ
1962 2578.9 56.1 30.2 5.5 6.0 4.5 1.0 6.5
1963 2690.4 58.1 30.6 5.7 4.3 3.6 1.3 7.0
1964 2846.5 60.5 31.0 5.2 5.8 4.1 1.3 6.5 ジョンソン
1965 3028.5 62.4 31.5 4.5 6.4 3.1 1.6 6.1
1966 3227.5 64.6 32.4 3.8 6.6 3.5 2.9 6.7
1967 3308.3 65.8 33.4 3.8 2.5 1.9 3.1 6.9
1968 3466.1 67.8 34.8 3.6 4.8 3.0 4.2 7.8
1969 3571.4 67.9 36.7 3.5 3.0 0.1 5.5 9.0
1970 3578.0 68.9 38.8 4.9 0.2 1.5 5.7 10.6 ニクソン
1971 3697.7 71.8 40.5 5.9 3.3 4.2 4.4 10.3
1972 3898.4 74.2 41.8 5.6 5.4 3.3 3.2 8.8
1973 4123.4 76.5 44.4 4.9 5.8 3.1 6.2 11.1
1974 4099.0 75.3 49.3 5.6 -0.6 -1.6 11.0 16.6
1975 4084.4 77.4 53.8 8.5 -0.4 2.8 9.1 17.6 フォード
1976 4311.7 80.3 56.9 7.7 5.6 3.7 5.8 13.5
1977 4511.8 81.5 60.6 7.1 4.6 1.5 6.5 13.6 カーター
1978 4760.6 82.6 65.2 6.1 5.5 1.3 7.6 13.7
1979 4912.1 82.2 72.6 5.8 3.2 -0.5 11.3 17.1
1980 4900.9 82.0 82.4 7.1 -0.2 -0.2 13.5 20.6
1981 5021.0 83.0 90.9 7.6 2.5 1.2 10.3 17.9
1982 4919.3 82.5 96.5 9.7 -2.0 -0.6 6.2 15.9 レーガン
1983 5132.3 86.2 99.6 9.6 4.3 4.5 3.2 12.8
1984 5505.2 88.1 103.9 7.5 7.3 2.2 4.3 11.8
1985 5717.1 89.3 107.6 7.2 3.8 1.4 3.6 10.8
1986 5912.4 92.0 109.6 7.0 3.4 3.0 1.9 8.9
1987 6113.3 92.3 113.6 6.2 3.4 0.3 3.6 9.8
1988 6368.4 93.5 118.3 5.5 4.2 1.3 4.1 9.6
1989 6591.8 94.2 124.0 5.3 3.5 0.7 4.8 10.1
1990 6707.9 95.3 130.7 5.6 1.8 1.2 5.4 11.0 J.ブッシュ
1991 6676.4 96.4 136.2 6.8 -0.5 1.2 4.2 11.0
1992 6880.0 100.0 140.3 7.5 3.0 3.7 3.0 10.5
1993 7062.6 100.5 144.5 6.9 2.7 0.5 3.0 9.9 クリントン
1994 7347.7 101.8 148.2 6.1 4.0 1.3 2.6 8.7
1995 7543.8 102.8 152.4 5.6 2.7 1.0 2.8 8.4
1996 7813.2 105.4 156.9 5.4 3.6 2.5 3.0 8.4
1997 8159.5 107.5 160.5 4.9 4.4 2.0 2.3 7.2
1998 8508.9 110.3 163.5 4.5 4.3 2.6 1.6 6.1
1999 8859.0 112.9 166.6 4.2 4.1 2.4 2.2 6.4
2000 9191.4 116.2 172.2 4.0 3.8 2.9 3.4 7.4
2001 9214.5 117.5 177.1 4.7 0.3 1.1 2.8 7.5 J.W.ブッシュ
2002 9436.1 123.1 179.9 5.8 2.4 4.8 1.6 7.4


経済成長率と悲惨度指数
図1 アメリカ経済のパフォーマンス
図1 アメリカ経済のパフォーマンス

コメント:実質GDP成長率と悲惨度指数は相反する動きをしています。二度の石油危機の後には経済のパフォーマンスが大きく悪化していることが、2つの指標の動きから見て取れます。


IT革命により生産性は上昇トレンドに
図2 非農業労働生産性伸び率
図2 非農業労働生産性伸び率

コメント:民間非農業の労働生産性のトレンドは戦後一貫して低下してきたことがわかります。しかし、IT革命が展開した90年代には、労働生産性は上方トレンドに転化したことがわかります。


失業率、消費者物価指数と悲惨度指数
図3 悲惨度指数の内訳
図3 悲惨度指数の内訳

コメント:悲惨度指数の動きは消費者物価指数の変化は影響を受けているといえるでしょう。インフレ率が低下した90年代は悲惨度指数が大幅に改善しますが、この背景にはIT革命による生産性の向上や限界コストの低下が影響しています。


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