human and environment
4-1. 環境ホルモンとは
- ヒトからみた環境 -  玉利 祐三

4-1-2. ダイオキシンとダイオキシン類
 ダイオキシンとは、ポリ塩化ジベンゾ?p?ジオキシン(PCDD)の通称であり、ダイオキシン類とは、PCDDとポリ塩化ジベンゾジフラン(PCDF)を加えた総称のことです。

 PCDDそしてPCDFの化学構造は、下図のようにベンゼン環の側鎖に塩素が1〜9の位置に1〜8個つくので、結合する塩素の数と位置の組み合わせにより、PCDDでは75種類、PCDFでは135種類もの化学構造が異なった化合物(異性体)があります。


図2ダイオキシン類(PCDD及びPCDF)の化学構造

 人名で例えるならば、神戸に住んでいる鈴木さんは鈴木家の人です。鈴木さんの兄であるPCDDと、鈴木さんの弟であるPCDFも、共に鈴木家の人であることには変わりありません。この鈴木さんの親戚全部となると、鈴木家は"ダイオキシン類"と呼ばれ、マスコミなどでは単に鈴木さん、つまり"ダイオキシン"として報道されているわけです。

 ダイオキシン類のうち、2,3,7,8-TCDD (報道では、単にTCDDと呼ばれることもあります)は、正式には2,3,7,8-四塩化ジベンゾダイオキシン(あるいは2,3,7,8-テトラ・クロロ・ジベンゾ・パラ・ダイオキシン)と呼ばれ、ダイオキシンの毒性を代表(換算)して示されることが多いようです。

 これは前述の例えでいうと、ダイオキシンという鈴木さんの中で、神戸市東灘区岡本3丁目の鈴木太郎さんのようなものに相当します。ダイオキシンのうちこの TCDD が最も毒性が強いと考えられています。