human and environment
3. 地球の環境はどう変遷してきたのか?
- 私たちの住む地球 - 太田 雅久
- 宇宙進化の時間尺度からみて
- 太陽は水素を融合し、ヘリウムを作る核融合反応でエネルギーを放出し、燃えている。太陽が有限であることから水素の量も有限である。約50億年の後、ほとんどの水素を使い果たしヘリウムが生成し、重力のバランスがくずれ、外部のガスが膨張し、半径が地球の軌道の近くまで大きくなり、赤色巨星となる。恒星の末期である。地球も太陽と運命をともにする。
- 地球の歴史の時間尺度からみて
- 45億年前に星間物質が重力による集積で一カ所に集まり、火の玉の地球を作った(1200℃)。その後、表面が冷却し(150℃)、陸と水の惑星が形成され、生命が誕生した(30℃)。人類が登場した数100万年前の「生命の惑星」の地表は20℃であった。火や道具を使い出した40万年前の「文明の惑星」となったときの地表は15℃である。
そして現在の平均地表温度は、この100年間に0.6℃上昇した。これから先、どうなるのか?
- 人類の歴史の時間尺度でみると(数万年〜数十万年の時間尺度)
- 地表温度は周期的に±2℃の変動がみられる。
- 地軸の傾きの変動周期 → 4万1000年(21.5° 〜 24.5°)
- 歳差運動(すりこぎ運動)の回転周期 → 2万3000年
- 離心率の変動周期 → 10万年及び40万年(楕円軌道がゆがみ)
これらの周期の組合せで、大氷河期が周期的に現れていると考えられている。
E.Boeker and R.von Grondelle Environmental Physics (John Wiley,1995)
E.Boeker and R.von Grondelle Environmental Physics (John Wiley,1995)
- 最近1000年間温度変動
- スカンジナビア半島の樹木の年輪の形成状況から年々の温度を推定した。100年以内の周期で複雑にゆらいでいる。ゆらぎの幅は±1℃以内である。
Nature Vol.346 02 August 1990 p.434
- 最近100年以内の温度変動
- 産業革命以来、化石燃料の消費は右上がりで、このまま伸びつづけると、大気中のCO2濃度は、2030年で当時の2倍になる。CO2濃度の上昇に一致する形で地表温度が上昇している。しかし、過去1000年のデータで見られる大きなゆらぎ幅±1℃の範囲に入っているため、人工的な要因による変動であることを確定するのはむずかしい。
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