human and environment
2. 大気汚染物質とは
- 環境汚染 -  松田 八束

 大気汚染は、歴史的にみると、人類が火を使うようになってから始まり、第一次産業革命が始まってから格段に激しくなり、第二次世界大戦が始まってから全世界に広がったと云われる。さらに高度経済成長が始まって、全地球的に深刻度を増し、...というように段階的に大きな規模になってきた。今日のこの問題の本質は、人類の生活範囲が拡大し、地球環境への負荷が大きくなってしまったことにあると考えられている。今や全地球から宇宙空間へと人類の活動範囲が拡大しつつある。従って環境汚染がこれ以上拡大しないように積極的に抑え込むことが、現代を生きる我々の急務となっている。大気汚染物質は普通ガス状と粒子状の二つに大別される。



A. 気体状汚染物質の働き
 気体状汚染物質の働きには、直接的な人体影響(亜硫酸ガス、窒素酸化物、光学オキシダント等による呼吸気疾患や目、皮膚の障害、頭痛、吐き気等)の他に間接的な影響(C02の温室効果、フロンによるオゾン層破壊、農作物被害、酸性雨による森林、湖沼の被害、等)がある。

B. 粒子状汚染物質の働き
 粒子状汚染物質の働きにも、気体状汚染物質と同様に直接的な人体影響(呼吸気疾患)と間接的影響(視程の低下、地球の温暖化とは逆の効果、酸性雨による環境破壊)がある。大気汚染物質の人体影響は、気体状のものと粒子状のものとに分けて考えられるが、環境では両者の複合したものが存在し、その影響は複雑である。

C. エアロゾルの人体影響
 エアロゾルは人が呼吸するとき肺に入って、血液に取込まれて体組織や臓器に吸収される。呼吸に際して大きい粒子(粒子の大きさを空気動力学径で表すことになっている;dp≧2.5µm)は鼻で濾過されて肺の中まで達しない。一方、小さい粒子(dp≦2.5µm)は肺の奥まで入る。エアロゾルの人体影響を考える場合は物質の化学的性質の外に粒径が重要な因子となる。また、放射能を帯びた化学物質の場合は化学作用のほかに放射線の作用をもつ。この場合は放射線の人体影響に関する知識が必要となる。

 地球規模での生物影響が問題となっている、極微量で内分泌攪乱作用をもついわゆる環境ホルモンと呼ばれる物質には約70の化学物質が含まれる。ダイオキシン類及びフラン類は、我が国では一括してダイオキシン類として「大気汚染防止法」及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」においてゴミ焼却施設等の主要な発生源が規制対象とされている。

放射能/放射線
 1896年ベクレルが放射能を発見して以来100年余り、放射能/放射線の利用は拡大し、世界観が大きく変化し、生活や社会構造までも大変化を遂げた。放射能/放射線は両刃の剣と云われ、その取扱いを誤ると生物や環境に大きな害を及ぼすとして恐れられている。環境問題と関連して、エネルギー問題の解決のために原子力発電を我が国は推進している。放射能/放射線の基礎知識は国民的な規模で必要とされる。