human and environment
1-3-2. 環境基本法の基本理念
- 環境法・環境政策 - 大久保 規子
ステップ1
環境基本法を読んでみましょう。とても良いことが書いてあります。
ステップ2
下線部分に注意をして,各条文のポイントをつかみましょう。
解答例 ↓
- 1のポイント
- 世代間公平の考え方を明記
- 2のポイント
- (1)公害対策から環境負荷の削減へ
(従来)典型7公害(環境基本法2条3項)対策
大気汚染 水質汚濁 土壌汚染 騒音 振動 悪臭 地盤沈下
↓
(基本法)環境負荷(環境基本法2条1項)の削減
「人の活動により環境に加えられる影響であって,環境の保全上の支障の原因のおそれのあるもの」
(2)すべての者の公平な役割分担→協働原則の考え方の表れ
- 3のポイント
- 国際間公平の重視
ステップ3
3つの条文には,どのような課題があると思いますか。
解答例 ↓
- 1の課題
- 環境権が明示されなかった
- 2の課題
- 持続的発展の意味を明確化することが必要
- 3の課題
- 「国際的協調の下に」ということは,「日本が他国に先駆けて」積極的な施策を行うという姿勢とは異なる。
- 健康で恵み豊かな環境の保全(第3条)
「環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない」。
- 環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等(第4条)
「環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない」。
- 国際的協調による地球環境保全の積極的推進(第5条)
「地球環境保全が人類共通の課題であるとともに国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び我が国の経済社会が国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることにかんがみ、地球環境保全は、我が国の能力を生かして、及び国際社会において我が国の占める地位に応じて、国際的協調の下に積極的に推進されなければならない」。
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