human and environment
4-2. 新しい米作りの技術
- 環境と文学 - 高阪 薫
- ハイブリッド米
- イネを交配した雑種。ジャポニカ米(雌)に特殊な技術で自家受粉させないようにし、中国のインデカ米(雄)を人工受粉させたもの。親よりも強い性質「雑種強勢」がある。一般のイネよりも生育が旺盛で、自家受粉のコメより収量が1〜2割多いのが特徴。二代目以降は品質が保てないため、種子の採種が限られることや、食味が落ちることが農家への普及のネックとされる。1999年に岡山県の赤坂町が三井化学と共同で「ハイブリッド米」の試験生産を試みている。
- (山陽新聞 1999年6月12日 「岡山県赤坂町ハイブリッド米栽培事業化」)
- 新銘柄ミルキ−クイ−ン
- コメ流通の自由化に伴い大手商社が産地を巻き込んで新銘柄の発掘に乗り出しているが、「コシヒカリ」を超える新銘柄として注目されている。「ミルキ−クイ−ン」は農水省農業研究センタ−が開発、4年前に品種登録された。半透明で牛乳色なのがユニ−クな名称のいわれ。コシヒカリの突然変異種で、アミロ−ス含有が10%前後と低いため、粘りが強く、ウルチ米の雄であるコシヒカリともち米の利点を受け継いでいる。
- (朝日新聞 1999年5月14日 「コシヒカリを超えるか?新銘柄増産の動きミルキークイーン」)
- 遺伝子組み換え米
- 「遺伝子組み換え技術とは、ある生物から取り出した有用遺伝子だけを種の壁を越えて他の生物に導入し、農作物の改良を行うこと。同じ種の交配を繰り返しながら新しい品種を生み出していた従来の方法より短期間で目的とする性質のみを付与できる。」と農水省は説明している。現在、アメリカが主でほかにカナダ、ベルギ−、ドイツなどが大豆、とうもろこし、菜種、じゃがいも、綿、等に除草剤耐性、害虫抵抗性、などの遺伝子を組みこんだものを栽培しており、その栽培面積は年々増えている。日本にも1996年から遺伝子組み換え農産物が輸入されて食卓に上っている。コメに関しては、目下研究、開発中で、日本では、「日本晴」の品種に「イネ縞葉枯ウイルス」の導入試験を農業生物資源研究所が行ったほか、農業研究センタ−が「外被蛋白質遺伝子」の導入試験を行っている。1999年10月農水省は、キヌヒカリという品種に縞葉枯れ病ウイルスに抵抗する遺伝子を組み込んだ遺伝子組み換えコメについて3年間にわたって成分を分析した結果、組み込んだ遺伝子が作る蛋白質は、コメの成分から検出されなかったとして「安全」と評価した。国産の遺伝子組換え食品の安全評価第1号となる。このほか農水省が安全確認を終えた日本開発の遺伝子組み換えコメはウイルス抵抗性(日本晴)、アレルギ−を起こしにくいコメ、日本酒原料用に低蛋白に改良したコメなどがある。アメリカのモンサント社では、除草剤耐性のコシヒカリの開発を研究中といわれている。遺伝子組み換え農産物については賛否両論あり、食料の増産に寄与する等のメリットを説く一方で、環境や生態系に悪影響を与えるのではないかと懸念する声もある。
- (農水省パンフレット・土と健康 1999.5月号・東京新聞10.22など)
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