human and environment
2-3.農業開発と鉱山開発
- 環境とコスモロジー 北米先住民の砂絵から -  久武 哲也


ナバホ族の居留地周縁の聖地と鉱床

 1982年の時点でのリザベーション内の鉱山の埋蔵量を示した地図を見ますと、最も広い範囲にわたって分布しているのが石炭です。チャスカ山地の東側全域にわたって石炭が埋蔵されています。一部には石油もありますし、南のテイラー山の山麓一帯にはウラニウムと石炭があります。ウラニウムはアメリカで最大の埋蔵量だと思います。露天掘りで取っています。若い人たちは、こうした鉱山の採鉱の仕事に携わらないと他には仕事が得られないという状況です。ところが、この掘るという行為、大地を切り開くということに、ナバホの人たちは非常な心理的抵抗を持っているのです。

 鉱山は、ほとんどがリース(Lease)[借地]になっています。まずBIAと連邦政府がナバホの人たちから土地を借地するわけです。そして、その借地をいろいろなリース・ホールディング会社が借ります。チャスカ山脈の山の斜面のところは、エクソン・ウラニウム・ディベロップメント会社、エクソンのウラン開発会社がリースして採鉱しているわけです。

 東の方では、ナバホの部族レベルの潅漑プロジェクトが行なわれています。ナバホの潅漑プロジェクトが行なわれているところとエクソンのウラン開発地は隣接しています。それで、自分たちの潅概プロジェクトの西側に、土壌侵食を防ぐためのプロテクション(土手)を設けています。ところが、その上から、ウランを掘ったあとの排鉱水がどっと流れてきます。西側の方が降水量が少ないために、一度に雨が降ると、どっと水が一度に流れてくるわけです。チャスカ山地の東麓を流れるチャコ川(Chaco River)は、泥だらけになってしまいます。ナバホの人たちが最も大切にしていた水量の少ないチャコ川に、泥水だけでなく、上流からウランも流れこむ。その水を使って潅漑をやらなければならないのです。

 ウランや石炭開発に対する反対運動も起っています。1972年に、ブラック・メサ(Black Mesa)地方に住む84才のナバホ族の老女が、ピーボデー・コール・マイニングという石炭会社を相手取って裁判訴訟をやるわけです。ブラック・メサの石炭が埋蔵されているところは、そのほとんどが、ナバホの中にありますが、本来そこはホピというプエブロ族の系統の人々のリザベーションです。ホピの大地のほとんどに石炭が埋蔵されているのです。そこをピーボデー・コール・マイニング・カンパニーというリース会社が、集落の一番上流部で開発を進めていました。ですから、下流部では、ほとんどのトウモロコシ畑が泥水だらけになってしまいます。そこで、裁判闘争が起こりました。

ピーボデー・コール・マイニング・カンパニー