human and environment
3-1.砂絵と治療儀礼
- 環境とコスモロジー 北米先住民の砂絵から -  久武 哲也

 砂絵で治療を行なうときは、薬草とパワーを持ったニルチという聖なる人々、ホーリー・ピープルが四つの聖なる山からやってきます。絵師が、地面に砂絵を描きます。大きいのは二メートル、小さいのは七〇センチくらいです。病気の種類によって、描く絵がみな違います。百二十何種類の砂絵の名称があります。そして、それぞれに歌がついています。基本的に大事なのは、まず祝福の道です。そして、ホゾ、活力を与えるために祈ります。イーヴル・ウェイ、あるいはホチソジ、悪の道というのは、免疫、ディンにたくして体の中から悪いものを出していく治療儀礼です。砂絵ができると、患者を裸にして体を水で洗った後、トウモロコシの花粉を塗り付けます。そして、砂絵の上に座らせます。東を背にして足を投げ出して座ります。そして、ハーブの種を持った聖なる人々が歌と踊りを演じます。

 ビイギスティンというのは、あなたの体が世界なんだということなのです。地母の体のなかのマウント・テイラーから来た人々は、あなたの心の心臓である。体のなかの心蔵とか肝臓とか膀胱とか、体の部分は、地母の聖なる山の部分と一致している。座っているところに世界が全部描かれている。そして、ディン・ディネたちがいる。その人たちが、体のなかの四つの基本的パターンとなる聖なる山とつながるのです。ですから、頭の病気であれば、頭の部分をまず最初に触る。それから、砂絵の中の頭を触る。そのとき羽が用いられます。その羽で触っていきます。こうして、ディン・ディネやニルチという聖なる人々が免疫、パワーを与えていくわけです。

 なお、砂絵を描くという文化から見ますと、治療に使うのはナバホの人たちだけです。ヒカリラ・アパッチの人たちもケゴシという砂絵を描きますが、治療のためではなく、通過儀礼のときに描きます。プエブロの人々の砂絵の祭壇も似たようなものですが、これは結社への入会式用のものです。カリフォルニア南部のルイセーニョの人々は成人儀礼のときに描きます。