human and environment
5-2.人体におけるホルモンの働き
- 環境ホルモン -  今井 佐金吾

 ホルモンは内分秘腺(下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、副腎皮質および髄質、精巣、卵巣など)や視床下部などの神経系の組織、脂肪組織、心臓・血管から分泌され、ホルモンの種類によってはそのままの形で、またあるものは独自の運搬蛋白質と結合して血流に運ばれ、標的器官の細胞に必ず存在する受容体(レセプタ−)と呼ばれる特異的な蛋白質に結合して情報を伝達する。その結果として、エネルギ−代謝、発育と成長、性の分化と生殖などの生体機能を支配するとともに、生体内部の環境の恒常性が維持されるよう調節している(ホメオスタシス)。また、内分泌系は免疫系と神経系との密接な連携により情報伝達を行っている。 ホルモンは水溶性と脂溶性の二つに大別される。




 水溶性ホルモンの成分:蛋白質、ポリペプチド、アミン、アミノ酸
 脂溶性ホルモンの成分:ステロイド

 視床下部および下垂体から分泌されるホルモンは全て水溶性であり、蛋白質またはポリペプチドである。これらは分子量が大きいので標的臓器の細胞膜を通過することができず、細胞表面のレセプタ−に結合して情報伝達を行う。

 一方、副腎皮質から分泌する性ステロイドホルモンは複雑な環状構造をもつ炭化水素であり、脂溶性で細胞膜を通過して最終的には細胞核に到達し、その核内にある受容体蛋白に結合して作用を発揮する。

 つまり、ホルモンが作用して情報伝達をする標的器官の細胞表面や細胞核には、それぞれのホルモンと結合する固有の受容体蛋白(レセプタ−)が必ず存在する。ホルモンとレセプタ−は鍵と鍵穴に例えられるように、その結合は厳密に相互の固有性が保たれており、本来、各細胞にコ−ド化されているレセプタ−以外とは結合することはありえないとされている。