human and environment
5-4.ホルモン作用
- 環境ホルモン -  今井 佐金吾

 ホルモンは種類によって、そのままの状態で、あるいは血液中の輸送蛋白と結合して血流に乗って運ばれ、標的器官の細胞に到達する。そしてホルモンのあるものは、細胞膜にあるレセプタ−に結合し、またあるものは細胞核に移行して、核内のレセプタ−に結合して活性化し、DNAに働きかけ固有の目的を果たす。

 細胞は、それぞれ固有の性質や機能を持っており、どの細胞も染色体に同じDNA(デオキシリボ核酸)のコピ−を持っている。あるホルモンが標的器官の細胞に新たな蛋白質の合成するように情報伝達する場合、まず、そのホルモンは特定の核内レセプタ−(つまりホルモンを鍵として、鍵穴にあたる)と結合する。その後、これらは新しく造られる蛋白質をコ−ドする遺伝子の一定のDNA部分に結合する。その結果、転写調節因子により基本転写因子が活性化され、DNAからmRNA(メッセンジャ−・RNA)への転写が促進され、その後、mRNAのコ−ドに基づいてアミノ酸が結合して目的とする特定の蛋白質が合成される。


出典:「環境ホルモン戦略計画SPEED’98」環境庁環境保険部環境安全課、1998