human and environment
2-3.生と死をめぐるバイオエシックス
- 医療環境と生命倫理 -  谷 荘吉

 高度先端医療が発展するに従って、医療技術に関して、個人の生存権と社会における医療資源のバランスが問題となって来ている。救命・延命治療の限界に関しても、生命倫理的観点からの検討が必要な時代になっている。生と死の基本的なバイオエシックスの基盤は、患者の自己決定権が出発点となる。即ち、個人の意思決定の尊重である。生と死の場面における、個人の選択権が重要視されているということになる。

 バイオエシックスに関する現在の課題は多数存在するが、個々には、すぐ結論の出せない困難な問題も少なくない。幾つかの事例を列挙すれば、次のにようになる。体外受精、男女産み分け法、子宮提供、クローン問題、脳死、臓器移植、遺伝子診断、遺伝子治療、人体治療実験(ダブルブラインド試験法を含む)などである。