human and environment
3-1.ウイルス汚染
(B型、C型肝炎、エイズウイルスなどへの対策)
- 医療環境と生命倫理 -  谷 荘吉

 19世紀、20世紀の世界流行病としては、ネズミノミが媒介したペスト菌による致死的な病気の大流行についで、天然痘ウイルスによる伝染病が最大の課題であった。ジェンナーによる種痘の開発で終焉し、1980年には、WHOにより、天然痘絶滅宣言がなされたことは、近時の快挙である。

 インフルエンザの流行に関しても、根本的な解決はみていない。予防ワクチンの効果についても、決着が付いているとはいい難い。また、個人の予防と公衆衛生的予防に関する考え方についても、国民的コンセンサスが得られているとはいえないであろう。

 また、一方で、輸血などの血液製剤による肝炎ウイルス感染、さらに性交感染などを感染経路とする致死的疾患としての後天性免疫不全症候群(エイズウイルス感染症)の発生など、新たな難問題が台頭している。

 21世紀へ向けて、このエイズ対策は、性教育問題を含めた予防処置を中心に、益々重要性を帯びるであろう。治療の開発に関しても、急速な発展が期待されている。

 さらに、エイズカウンセリングの問題も重要である。