human and environment
4-4.心のケアとヒーリングの問題点
- 医療環境と生命倫理 - 谷 荘吉
例えば、末期の進行がんで、もはや現代医学の最先端医療でも、救命延命医療が奏功しないという病状に対して、どう対応するかが問題となる。そうした絶望的状況における、精神的援助に関する対応は、前述のカウンセリング技法を中心とした、心のケアとヒーリングによるアプローチが重要となる。人生の終焉を迎えるに当たって、何を考え、何を感じるか。死の恐怖や不安、孤独、死後の世界に関する未知の世界への恐れ、宗教的な救いの問題など、死に直面している臨死患者には、特珠な精神状態がある。自己の運命についての洞察は、告知の問題が重要牲を増す。闘病という療養態度があるが、それは積極的な生への努力としては感動的だが、どんなに闘っても、身体状況の悪化を阻止することは出来ず、病勢は刻一刻と進行する。そして、最終的に死を避けることは出来ない。従って、闘病の努力には、限界があることを認識しなけばならない。それは、ある病態に達した時には、死を受容する心の準備が必要であることを意味している。その時点での心の葛藤には、カウンセリング技法を主体とした、心のケアが大切である。 心の癒し(ヒーリング)について考えると、色々なアプローチの仕方がある。例えば、音楽療法といわれるものである。健康で元気な過去の生活において、思い出となるような音楽を楽しむことによって、心の癒しが得られることがある。最近では、ペット療法、アロマセラピー(香料による心のケア)、読書療法、芸術療法、ユーモア療法など、多数のケアが試みられている。 |