イギリスでは環境教育を「環境について(about)の学習」「環境のため(for)の学習」「環境の中で(in)の学習」という3つのカテゴリーに分けることがなされる。最近ではこれに加えて「環境を通して(through)の学習」とか「環境とともに(with)学習」などを加える人もいるが,基本的には初めの3つに収めることができよう。
このうち、「環境についての学習」は、すでに「学習対象と学習内容」で述べたことであり、ここでの環境は自然環境,人為環境の両方を指しているし,両者を総合すると文化や文明についての学習にもなる。学校では理科や社会などの教科が中心になる部分であろう。
次の「環境のための学習」は「環境問題についての知識」「環境を保全するための知識や技能,能力,態度,実行力」などが含まれることになる。かつての公害教育や自然保護教育はこのカテゴリーの活動であろう。個別的な活動としては空き缶や牛乳パックなどの回収,いわゆるリサイクル活動が含まれよう。学校では特別活動,児童会や生徒会の活動,ときにはクラブ活動が当てはまる。
最後の「環境の中での学習」は自然観察会やタウン・ウォッチングなど実際,学習対象となる環境の中での体験的な活動を指している。これは環境教育の目的や目標の初めに示されている環境への「関心」,さらには環境への感性を獲得する上においても大切な活動であるが,なによりも学習者をして環境問題に「本気で」取り組んでもらうためにも欠くことのできない方法である。いくら本を読んで多くの知識をもったとしても,実際の場面を見ないと感じとれない部分はあるものである。「環境について」「環境のため」の学習を深めるためにも「環境の中での」学習、いわゆる体験学習が求められるのである。