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 太平16年(1年目)ナベちゃん19歳
 めでたく新会社 ホワイト・ラビットを設立し、当座預金口座も開いたナベちゃんは、夏休み明けの9月1日に、ようやく [氷川流パソコン・プロテクター]50台を仕入れ、念願の販売を始めることができました。
 当面の販売先としてダイセーやパスコ、シトーコーカドーなどの大手量販店を考えていたナベちゃんですが、足を棒にして歩き回っても、各社のバイヤー(仕入れ担当者)はなかなか首を縦に振ってくれません。そこで、国の特別史跡に指定されている大阪市内のあちらこちらのショーテンガイを廻り、そこで営業している昔ながらの街の電器屋を一軒一軒訪ねて、とにかく一台だけでも置いてもらおうという地道な作戦に変更しました。  
 こうした努力の甲斐あって、会社設立から1年後の大平16年8月31日までに、ナベちゃんは合計94台の[氷川流パソコン・プロテクター]を売ることができました。  
 ところが、決算のために損益計算書(P/L)を作ってみると、事務所の家賃や保証金、水道光熱費、交通費、配送費、販売促進のために作ったパンフレットの印刷代などが思いの外かさみ、なんと差し引き351万7360円の大赤字になっていることがわかりました。さぁ、大変!