第8話 　ナベちゃんは何が何だかよくわからないまま、とりあえず言われたとおりその足で東京・丸の内の新四菱ビルにある大日本銀行の本店を訪ね、75階の総合受付で嶋蔵社長の長女・嶋蔵泰子（24歳）に面会を申し込みました。 　皇居を見下ろす応接室でナベちゃんを笑顔で迎えた泰子は、嶋蔵社長が言っていた骨董屋はかなり調子がいいから気を付けるようにと忠告してから、畳の上に広げられた書類に目を落としました。 　財務諸表を一目みて顔を曇らせた泰子は、腰まである豊かな髪を揺らしながら袴の裾を整えて座り直すと、在庫管理に問題があると指摘しました。そして、香木に抵当権を設定するとしても、不良在庫を処分して在庫を適正化する対策をしないと融資はできないと…。さぁ、ナベちゃんどうする？