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 めでたく大阪証券取引所二部に株式を上場することができたホワイト・ラビット。 大平24年10月には、基幹商品のパソコン・プロテクターが、たびたび宇宙船に出没し乗組員を天然ボケにしてしまう恐怖の生き霊《ヒーリング・ゴースト》封じにも有効であることが確認されたため、宇宙関連のハイテク株として株価が急騰しました。喜んだナベちゃんは、その創業者利潤の一部を大学に寄付し、ようやく卒業できるとホッと一息つきました。
 ところが、卒業のための最後のハードルである口頭試問も無事終わった大平25年3月16日の夜、ゼミナールの担当教員・伊豫田教授から慌てた声で電話が入りました。霞ヶ関の証券取引等監視委員会から連絡があって、ナベちゃんの会社でインサイダー取引の疑惑があるとのこと。予定では明日の教授会で卒業認定会議を行い、ナベちゃんの卒業が公式に認められることになっていた矢先のことです。もしインサイダー疑惑が本当なら、ナベちゃんは卒業どころか退学になるかもしれません。