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  大平45年。ナベちゃんは48歳になりました。
 春日商事グループと資本提携したナベちゃんは、ホワイト・ラビットの販売網を使って、春日商事の取扱商品―奈良・春日大社秘伝の厄よけ薬 [馬酔木水] の販売拡大に乗り出しました。
 ところが、大平45年8月に薬事法が全面的に改正され、米国やEUで認可された薬がそのまま日本でも認可されることになりました。このため国内唯一の合法厄よけ薬であった [馬酔木水]は、米国の[クリスチャン・セイクリッド]やフランスの[ロー・ルルド]など、世界的な知名度をもつ低価格の厄よけ薬との競争にさらされることになり、国内シェアは一気に20%台にまで落ち込みました。
 また、この年の10月には日米欧の国際条約によって、これらの国々の金融市場への相互参入が完全に自由化されたため、多くの外国の金融機関が、それまで国内でトップシェアを誇っていた大日本銀行の長期プライムレ一卜を遥かに下回る利率の新商品で、日本の金融市場にわれ先にと参入してきました。さぁ、ナベちゃんどうする?