資本構成の理論 経営財務論

 企業の資本調達源泉の中で、自己資本と他人資本の割合を資本構成といいます。企業の資本構成の問題とは、どの程度借金すべきかという問題になります。

 家庭生活と同じように考えると、借金は少ない方がよいという気がしますが、企業の資本調達の場合は、そのように簡単に考えられる問題ではありません。最も好ましい資本構成、すなわち最適資本構成はいかなる点であるかについては、「資本コスト論争」と呼ばれる激しい論争が繰り広げられてきた問題です。ここでは簡単に企業が他人資本を利用するメリットとデメリットをあげておきます。

負債利用のデメリット
  1. 固定的な利子支払いが生じることで、自己資本利益率の変動がより大きくなる。例えば営業収益が¥0の企業を想定すると、負債を利用していれば支払い利子の分が赤字となるが、そうでなければ赤字から免れられる。
  2. 負債利用が多くなると、利子や元本を債権者に対して支払うことができなくなる可能性があるので、倒産のリスクが生じる。
  3. 負債を利用することにより、債権者という新たな利害関係者が生じることになり、株主や経営者といった他の利害関係者との間に利害の調整が必要になる。

負債利用のメリット
  1. 総資本利益率が利子率よりも高い状況で負債を利用することは、自己資本利益率を高めることができる。これをデメリットの1 とあわせて、負債利用のレバレッジ効果と呼ぶ
  2. 負債に支払われる利子は費用として扱われ、利用していない場合より節税が可能

(馬場 大治)