労使交渉 経営労務論

 憲法第27条では、すべての国民に働く権利(=勤労権)を保障しています。また、憲法第28条は、労働者の団結権・団体交渉権・団体行動権(=争議権)の労働三権を保障してます。これらの権利は、いずれも労働者にとって基本的な権利で労働基本権と呼ばれています。さらに、労働基本権を具体的に生かし、健全な労使関係を保つために労働基準法、労働組合法、労働関係調整法の労働三法が制定されています。ただし、公務員や公共企業体の職員に対しては職務の公共的性格上、国家公務員法や地方公務員法などによって労働三権に制約が加えられています。

労働三法

労働基準法(1947年制定)
 労働者保護の中心法規。賃金・労働時間など労働条件についての最低基準を定める。労働基準法の賃金規定に基づき最低賃金法が制定され、地域別最低賃金が決められている。労働時間は、1987年に改正され、時短が進み、現在では週40時間制。施行を監督する機関として労働基準局・労働基準監督署がある。
労働組合法(1945年制定、1949年全面改正)
 労働三権を保障するために制定。労働者が自主的に労働組合を結成し、団体交渉をおこない、労働協約を結び、その目的を達成するために争議行為を行うことを認めている。争議行為は正当なものである限り、刑事上も民事上も責任を問われない。このほか、使用者の組合活動に対する妨害や介入などは不当労働行為として禁止し、行われた場合は、労働委員会に救済の申し立てができることも定めている。
労働関係調整法(1946年制定)
 労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防または解決し、産業の平和を維持が目的。労働争議の調整方法として、斡旋・調停・仲裁・緊急調整などを規定。

(大塚 晴之)