為替相場・為替変動 企業の経済学

 為替相場には、固定相場制と変動相場制の二つがあります。

 かつてアメリカに金準備が十分あった時代、ドルが金と兌換の通貨であることから世界的な信頼を得て、ドルを基軸として固定相場制が敷かれていました。1ドル360円はこの時のレートです。しかし、アメリカの金のプールが少なくなるにつれ、金兌換が不可能となり変動相場制に移行しました。

 変動相場制は、各国通貨の需要と供給の関係で相場が決定します。例えば、円安で日本の対米輸出が大きくなると、日本の外貨準備が大きくなり、円に変えられる時に円買いが発生します。これで、円安は解消されます。変動相場制では為替レートが安定化する機能を持っており、同時に為替に国際収支の安定化機能が存在していることを意味します。しかし、実際には各国の貿易は、各国の国内経済に依存しているため、経済が安定化されなければ為替も激しく変動します。為替の変動は、経済変動を引き起こすため、他国の経済情勢が為替を通じて国内経済に影響を及ぼすことにもなります。そのため、為替を安定化させるため、国際的な政策協調が行われています。

(大塚 晴之)