貸し渋りと資金調達 金融機関論


 不況の状況下では、家計の貯蓄資金が円滑に投資に回ることはありません。この原因は、銀行が法定の支払準備率を超えて銀行内に準備を積み増やして、投資需要に対応しないからです。これでは景気はさらに下降し、貯蓄と投資がバランスがとれるようになるまでこの事態は続きます。

 この場合、企業にとって頼りになるのがメインバンクです。特に株式持合いをしているようなケースでは、借り入れ企業と一蓮托生であり、できる限りの融資をするでしょう。ただし、銀行そのものが疲弊している時には、このようなことは期待できないかもしれません。

 貸し渋りが発生する時、経済学的に最も普通の行動は、資本市場からの資金調達です。市場全体として低迷気味でも、収益性の高い企業であれば、資金は調達できるはずです。

(大塚 晴之)