証券論 |
自由化・国際化の中で、金融環境は大きく変化しています。外資系企業の参入は、これまで保護されてきた銀行組織のあり方を変化させ、本来の預金調達への努力と投資戦略をさらに緻密にするようになります。証券会社も、従来の手数料収入を中心の営業戦略から、顧客への情報提供に主体とする情報生産機関として再生していくでしょう。自由化と外資系企業の参入による投資信託の多様化は、証券市場の厚みを増すことになります。 |
この環境のもと、企業は資金調達、資金運用の双方でその行動を変えることになります。資金調達は、証券市場が厚みを増したことで、増資が簡単になります。非店頭株式についても、証券会社の斡旋による取引ができるようになったので、ベンチャー企業も銀行借り入れだけでなく、資本市場からの資金調達が可能になります。こうした資本市場の発展は、銀行市場等との裁定取引ができるようになり、資金コストの低下が進みます。資金運用は、多用な投資信託商品など、金融新商品の開発で、より効率的な行動が可能になります。市場の取引が大きくなるということは、株価の変動(=ボラティリティ)が小さくなり、証券投資のリスクが軽減されることになります。 |
(大塚 晴之) |