半導体に関する学生実験
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3−A. 実験装置の説明
 

ケーブル類
 本実験では図1のようなケーブルが用意されている。電気系の実験ではと言うのが常識である。できるだけこの常識に沿って配線すること。この常識に従っていれば間違いがあったときにもすぐに発見できる。このケーブルを図2のような基板(ブレッドボードとよぶ)図3のような素子に配線する。
図2図3
図1


テスター
 テスターとは電圧計、電流計、抵抗の測定等に用いることができる便利な装置である。本実験では電流計、電圧計として用いる。レンジは必ず大きいほうから小さいほうへ様子を見ながら動かす。正確な値を得るためには「適切」なレンジを選択すること。「適切」とはオーバーレンジしない範囲で有効桁数が最も大きく取れるレンジである。
 例えば20mAのレンジは20mA以上は測れない(測ってはいけない)という意味である。逆に言うと20mA以下なら測定できる。しかしこのレンジで0.123mAを測定すると0.1mAとしか表示されない。2000μAのレンジを使えば123μAと有効桁数が増えて正確な値が読める。
 電流計、電圧計を用いるうえで得に重要なのは電流計は内部抵抗が小さく電圧計は内部抵抗が大きいことを十分理解することである。


電流電圧源
 電流電圧源はVoltage limit, current limitがかけられるようになっている。本実験では過電流防止のためにcurrent limitを設定する。電流つまみの白い部分を必ず矢印の位置に合わせておくこと。これで約100mA以上の電流は流れないように設定できる。実験中はこのつまみを動かさないこと。
 この電圧源は負の電圧を印加することはできない。したがって負の電圧を印加するときには出力の正負をつなぎ変える。


自作ショットキーダイオード測定台
 この台の上にシリコンウェーハをおき電流電圧測定をする。金属針とシリコンの接触点がショットキー接合となり整流作用をもたらす。シリコンの裏面はヤスリで荒らすがこれは逆にショットキー接合にならないように(オーム性接合という)するためである。金属針とシリコンの接触点が本質であることに注意すること。


パワーメーター
 パワーメーターは光強度を測定する装置である。検出器の面積が1cm2であるので測定された出力はW/cm2となる。この装置はuWという表示があるがμWの間違いである。灰色のボタンを押している間測定が可能となる。光検出部分は光照射系にセットする。


NDフィルター
NDフィルターは全波長にわたって透過率を減衰させるフィルターである。


色ガラスフィルター
 色ガラスフィルターは別名シャープカットフィルターという。特定の波長よりも短い 波長をシャープにカットするからである。波長と透過率のグラフを下記に示す。

 本実験ではハロゲンランプの光源を用いこのフィルターを通す。ハロゲンランプの強度の波長依存性を下記に示す。

 従って光源の光をフィルターを通すと下記のようなスペクトルとなる。

 このようなスペクトルの光が試料に当たることになる。光源の強度は1000nm付近でピークとなるためカットされる光の強度は全体の光強度から見れば10%以下である。したがってフィルターを換えることによる光電気伝導度の変化は照射光の強度ではなく波長(エネルギー)の変化が本質である。

光照射系
 光照射系は下記の様に組む。光が試料に一様に当たるように高さを調節する。特に太陽電池の直列、並列特性を測定する場合には二つの太陽電池に同じように光が当たっていないと二つの発電量に差が出てしまう。
 測定は外部の光を避けるために暗幕中で行うこと。


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