社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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5-1-5 構想を組み立てる―多角的なアプローチ
学生からのコメント「こんなアプローチ」

特定の路上ライブの観察からアンケートへ
まず、ある特定の路上ライブをしている人と、そのライブを見ている人の両方を外から見て観察することから始めます。観点としては、ライブを行っている人のやる気というか気合の入れ具合、演奏の上手下手、お金欲しさでやっていたら箱みたいなものを置いていると思うから、箱みたいなものがあるかないか、またライブを見ている人の、年齢層、職業(社会人、学生など)、どのくらい演奏を聞きいっているか、どのくらいの時間その場にいるかなど。その後に、ライブを行っている人、見ている人と接触して話しを聞いてみます。それらの話をもとに他の路上ライブをしている人にアンケートをしてみます。

路上ライブの起源と社会史
ライブというものが日本で何時から始まったのか起源を調べ、ライブを初めて広げた人たちがどのような人だったのか年代層などを音楽関係から調べる。そして、ステージで歌う歌手などが行うライブからそれがどのようにして「普通」の若者が行う路上ライブへと展開していったか、その間の流れで日本で起きた事件、出来事、背景などを調べ、最後に路上ライブをする若者の心理を探ってみる。

三宮、姫路から大阪、そして全国へ
私ならここからまず、身近によく見かける三宮とJR(山陽)姫路あたりに路上ライブ目的で行ってみます。何人でやっているか、服装、曲のジャンル、歌っている内容、オリジナルかコピーか、見ている人はいるか、などを調べてみます。そして次にできそうならば、本人にインタビューをしてみる。内容としては、年齢、なぜその場所で、何故路上で、何の目的でやっているか、将来について、普段は何をしているのか、などを聞きます。そして三宮と姫路でそれぞれ特徴を発見したならば、大阪へも調査に出かける。さらに時間とお金があるなら、全国まわってみたら面白そうだと思います。路上ライブを見ている人、また見ていない通行人にも感じていることを聞いてみたい。

路上ライブをしている人に話しを聞き、分類化。
「なぜ路上でライブをしているのだろう」という疑問を解消するにはライブをしている本人に聞く以外ないと思います。その際にライブを続けている期間やジャンル、場所の選び方、観衆がいない時のモチベーションの保ち方、見返り(ギターケースなどにお金をもらう行為、拍手などは含まない)を求めるのかどうか、プロ志向なのか、と色々な質問をしていくと何人か調査した時点で少しずつ分類化されていって、ライブしている本人の主観以外の客観的なデータが得られると思います。

公共空間での自己満足?
私も路上ライブをしている人に対して、あまりいい感情を持っていません。理由は公共空間を占領していることと、彼ら、彼女らの歌う詞のメッセージにあります。・・・・後者についてはその稚拙なメッセージを公共空間で自己満足的に発散していることだと思います。私は路上ライブを公共空間に拡大する私的空間のひとつとして認識し、公共性とは何かということから路上ライブを調べてみたいと思います。具体的には、彼、彼女らの歌う歌がコピーなのかオリジナルなのか?使っている楽器は何なのか?何のために歌うのか?(自己アピール?スカウト目当て?友人作り?楽しいから?)を調べる。方法は本人へのインタビューというか同行して密着取材のようなことをしたいと思います。

了解、法規、対策
貸スタジオとかもあるのに、どうしてわざわざ人の多いところでうたうのかを実際に路上ライブをしている人に聞いてみる。路上ライブをしている場合は、ある一定の決まった場所でやっている事が多いけれど、たくさんのグループがその場所でやりたいという事になったら、どうやって順番とか場所とかを決めるのか、個人的に路上ライブはうるさいから好きではないので、路上ライブについて町の人々はどんな風に考えているかが知りたい。ライブをすることになったら、お金をもらって「稼ぐ」という事になるし、路上ライブで人が多くなったりして交通に迷惑になったりするかもしれない。交通機関の会社や警察は路上ライブについて何か被害が起こった時の対策があるのか、路上ライブをする上での規則みたいなものがあるのかを調べる。

相手のこだわりに入る
音楽のジャンルを一通り覚え知識をつけ、リクエストや演奏にのったりして、自分の存在を奏者にアピールする。私は音楽には結構うるさい方なので的確なことを互いのバンドに対していえると思う。相手のこだわりの部分に入って行くのが大事だと思う。それで心を打ちとけ合う。真剣さ(音楽に対しての)を感じられないバンドには、音楽的よりもビジュアルなど彼らの興味のありそうな事を聞き調査に入る。

路上ライブとライブハウス比較
路上ライブに足を止める人に「なぜ足を止めたのか」「この人たちのライブ、もしくは他の人たちのライブを何回くらい足を止めて聞いたことがあるのか」「なぜライブハウスに行かないのか」と質問してみる。又、ライブハウスの客にも「なぜライブハウスに来るのか」「路上ライブに足を止めたことがあるか」「何回くらい足を止めて聞いたことがあるか」と質問してみる。この2つのデータと比較検討して、なぜ路上ライブに人が集まるのか、ライブハウスでのライブと何がちがうのかについて、仮説をたててみる。そして、その仮説を立証するために、今度は観客だけでなく、実際にライブをしている人にも「なぜ人が集まるのか」「なぜライブハウスでしないのか」等の質問をしてみる。その他の方面から意見を聞いてみたいのでライブハウスの店長などにも路上について話を聞いてみたいと思う。

何を発信しているか
よく言われているのは、「ゆず」に代表される男性2人組デュオが路上ライブブームの発端だろう。最近では「PE’Z」も路上からメジャーデビューに至っている。今の街中ではプロ志向の人はほとんど見られない。では何の為に歌っているのかと考えれば「家で演奏すると近所迷惑になるからではないか?」「目立ちたいから」等々いろいろあるだろう。これらは実際に生の声を聞けばすぐにでもわかるだろう。続いて日本における路上ライブブームのこれまでについては、最初のブームは反戦フォーク時代だろう。ボブ・ディランやニール・ヤングに影響を受けた若者が新宿などで歌っていた時代だ。明らかに何らかのメッセージを発信する目的が強かったと思われる。それは今とは少し違うところだろう。今の路上ライブをしている子達に「なぜ歌っているのか」と聞いてもたいした答えは返って来ないと思いますが・・・・

全国性、過去からの流れ
音楽というものはいろんなスタイルがあると思う。流行も存在する。路上ライブをするという行為が一部の地域だけでなく全国的に存在することは何か大きなきっかけがあったのであろうと。演奏しているのが2、3人という共通点からもそう感じられる。音楽というものは昔から今までいろいろな形をかえながら1本につながっているので路上ライブということからも紐解いて行くことを僕ならすると思う。路上ライブをする側に音楽的センスがないといけないのか、下手な人でもなぜしようと思えるのか、など過去の音楽から今までの流れでいろいろ見えてくるものも多いはずである。その上で何人かの路上で歌っている人に、なぜ路上ライブをするのかを聞けばそこからまた分かる事も増えてくる。

普通の会話から相手の意識を読み取る
「なぜ?何のために?こんなところで勝手にして悪びれないの?」などなど、感じた疑問・違和感。これらを実際に演奏者に近づきそれとなく尋ねる。直接それぞれをぶっつけるのではない。上手な人に聞く場合は、憧れ的なスタンスを出せば良いが、無意識にいわゆる「垂れ流し」をしている者たちにたいしては、質問の仕方を練る必要がある。普通の会話に相手の意識を読みながら、さりげないインタビューから、今の若者に感じることの少なくない、よく分からない「自己顕示欲」「はっきりと自分の中に規律を持たないで周りの環境に流されやすい」という面がはっきり浮かびあがってくるのではないだろうか。

ストリート・ミュージシャンのネットワーク
いろいろな意見を読んでいて、私はストリートライブをしている人のなかでネットワークを調査してみたらおもしろいのではないかと思った。ストリートミュージシャンのなかでの社会のようなものを調査、分析。


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