社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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5-2-2 漠然とした関心を記録する
Example 交換のルール/不要なモノを必要な人へ

2002年2月18日(月) ジャンブル・セール(JUMBLE SALE)
 準備12:00〜14:00、開催時間14:00〜15:30

 初めて参加するジャンブル・セール(Jumble:がらくた、寄せ集め、ごちゃまぜの状態、混乱)。12時きっかりにセンターに到着。すでに机などのセットは配置され、黒の大型ポリ袋に入った古着が15袋ほど、テーブルの上に置かれている。6つのコーナに分かれる。1.古本、2.玩具・ぬいぐるみ、3.古道具・ガラクタ、4.古着(女性、男性、幼児用)、5.靴・ベルト、6.喫茶

写真「古着が入った大量の大型ポリ袋」
「古着が入った大量の大型ポリ袋」2002年2月

 手伝いは10人ほど、スタッフAがジャンブル・セールの全体を取り仕切る。彼女が時間の配分や、人の配置など手際よく指示する。各テーブルに商品を並べる。ジャンブル・セールのメインは、大型ポリ袋の古着。まずは、男性、女性、子供用に分類し、それぞれのテーブルのうえで、上着、ズボン、スカートなどに分けて山積みにしてゆく。着古しているうえにたたんでないので古着がさらにボロ着に見える。下着まである。たたまずに、どんどんテーブルの上に重ねてゆく。女性用衣服が3分の2を占める。古着は、主に近所の人たちが不要になったものを随時センターにもってきたものである。

 開場20分ほど前から、センターの入口に人が並び始める。行列を作って待つ、というのが、ジャンブル・セールの慣らわしらしい。2時までには、20人ほどの列。ボランティアは、各自、担当のテーブルにつく。私は女性用の古着の係りである。1着50ピー(約100円,100pence=1pound,ペンスをピーと発音する人が多い)をベースに、服によって適当に値段を判断。売り手は、気にいったものを見つけると、自分用に除けてキープしている。「これ、あんたに似合うんじゃない」「ええ色やなあ」などとボランティアどうしで言いあっている。私は、商品のかなりのボロさに感嘆し、買う人がいるのかと疑う。

写真「ジャンブル・セールの古着の山積み」
「ジャンブル・セールの古着の山積み」2002年2月

 2時開場。10分もすると、3、40人ほどの客が入ってくる。お祭り気分というよりは、かなり真剣である。お客さんはけっこう買ってゆく。「男性用のシャツはないのか」と質問する人もいる。客は、それぞれの目的をもってジャンブル・セールにのぞんでいるようだ。
 ある人は、何も買わず、うろうろと様子をみている。3時すぎAが「これから黒いナイロン袋一杯、50ピー」と宣言。その人はあの大きな黒袋を受け取って、男性衣類をどんどんと袋に詰め込んでいった。彼が「50ピー宣言」を待っていたことは確かだ。山盛りの衣類は、まだ4分の3ほど残っており時間もじゅうぶんにあるので、お客は吟味して黒袋に衣服を詰めている。必要としている人が僅かな代金で多くを購入できるシステムに、なるほど、と感心する。これが個人から個人への援助といったものなら受け取った人の負担になるが、あくまでもジャンブル・セールのルールの中での取り引きであり、そこには個人の人間関係が介入しない。ジャンブル・セールの大きな目的は、不要となったモノを必要とする人へ流すことである。私がバングラデシュで研究していた宗教的な施しの慣習とは形は違うが、社会のなかにうまく組み込まれた交換のかたちとして面白い。

 3時半には片付けに入る。いつものごとく片付けはじめたら、素早い。男性衣類だけはまとめて、また別の場所でのジャンブル・セールへ渡されるようだ。他の衣類は分類せずに、とにかく黒袋へ入れてゆく。これらは次はどこへ?4時過ぎには片付けも終わり、手伝っていた人たちも用事がすんだ人から勝手に帰ってゆく。AとPは2階オフィスで今日の収支を計算している。


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