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原価計算 長坂悦敬
第5章 費目別計算

5-3  経費の計算

経費(expenses)は、「材料費や労務費に属さない原価要素のすべて」を含み、その内容は千差万別である。

1.経費の分類

経費を形態別に分類すると以下のようになる。

  • 外注加工費:製品の加工を他の業者に委託した場合に支払われる加工費
  • 特許権使用料:他の会社の所有する特許権を使用する場合の使用料
  • 仕損費:加工に失敗することにより生じた損失
  • 旅費交通費:工場従業員の出張旅費や交通費など
  • 通信費:工場の電話代や切手代など
  • 保険料:工場建物・設備にかかわる火災保険料など
  • 減価償却費:工場建物・設備にかかわる減価償却費
  • 電力料:工場で使用される電力料金
  • 棚卸減耗費:材料等の帳簿棚卸高と実地棚卸高との差額

外注加工費は材料などの加工・組立の仕事を外部の業者に委託する場合にその対価として支払われるものであるが、一般に日本の製造業ではこの外注加工費が大きな比率を占めている。

経費を製品との関連においてとらえた場合、次のように直接経費(direct expenses)と間接経費(indirect expenses)に分類される。

  • 直接経費:特定の製品の原価として直接認識できるもの(外注加工費、特許権使用料、仕損費など)
  • 間接経費:特定の製品の原価として直接認識できないもの(つまり直接経費に該当しないもの)

経費は、消費高の計算方法の違いによっても分類できる。この場合は、以下のように分けられる。

  • 支払経費(expenses paid):毎月の支払高に基づいて消費高が計算されるもの(外注加工費、修繕費、福利厚生費、保管料、旅費交通費など)
  • 測定経費(expenses measured by gage):支払高とは別に、消費量をメーターなどで把握し消費高が計算されるもの(電力料、ガス代、水道料など)
  • 月割経費(expenses quota by month):1年あるいは数ヶ月の支払高や計上高を月割計算して消費高が計算されるもの(減価償却費、賃借料、保険料、租税公課など)
  • 発生経費(expences accured):実際の発生額により消費高が計上されるもの(仕損費、棚卸減耗費など

2.経費の消費高の計算

(a)支払経費の計算

当月消費高は、次式の通り、当月の支払高に前月前払高と当月未払高を加算し、その合計額から前月未払高と当月前払高を控除することで求まる(図表5-7)。

当月消費高 = 当月支払高 + 前月前払高 - 前月未払高 - 当月前払高 + 当月末払高

(b)測定経費の計算

電気・水道・ガスなどは、毎月の消費量をメーター等で測定することができる。測定消費量に対して支払われるべき金額がその月の消費高となる。

当月消費高 = メーターで測定した当月消費量に対する要支払高

(c)月割経費の計算

数ヶ月分まとめて支払われる費目や1年分まとめて会計期末に計上される費目については、それらの金額を月割して計算した金額をその月の消費高とする。

(d)発生経費の計算

その月に発生した金額がそのまま消費高となる。すなわち、当月消費高=当月発生額である。

3.消費時の記帳

経費を消費した場合の記帳方法に以下の3つがある。

(a)経費勘定を設けて記帳する方法

各費目の勘定で算定された金額をいったん経費勘定に集約し、次の仕訳が示す通り、経費勘定から直接経費は仕掛品勘定へ、間接経費は製造間接費勘定に振り替える。

(借方) 仕掛品 ×××  | (貸方) 経費 ×××
製造間接費 ×××

(b)経費勘定を設けないで経費の費目勘定を用いて記帳する方法

各費目の勘定で算定された金額を経費勘定に集約せずに、そのまま経費の費目勘定から直接経費は仕掛品勘定へ、間接経費は製造間接費勘定に振り替える。

(借方) 仕掛品 ×××  | (貸方) 外注加工費 ×××
製造間接費 ××× 減価償却費 ×××
賃借料   ×××

(c)支払高(計上額)を直接記帳する方法

各経費の支払高(または計上額)を経費の費目勘定に計上せずに、直接経費は仕掛品勘定へ、間接経費は製造間接費勘定に直接記入する。

(借方) 仕掛品 ×××  | (貸方) 現金 ×××
製造間接費 ××× 未払金 ×××
減価償却累計額   ×××
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