7-6 7-8
原価計算 長坂悦敬
第7章 部門費計算

7-7  複数基準配賦法

補助部門費を変動費と固定費に区分して関係部門に配賦する方法が複数基準配賦法である。これに対して、変動費と固定費に区分しない通常の方法を単一基準配賦法という。複数基準配賦法について以下に説明する。 補助部門費を補助部門が提供するサービス量に基づいて配賦するのは、補助部門費がサービスを提供するために発生すると考えるからである。そうであれば、サービスを提供するために発生する原価は、固定費と変動費を区別して、変動費は提供されたサービスの実際利用量に応じて配賦し、固定費は各製造部門のサービス利用能力に基づいて配賦するべきである。

たとえば、A製造部門とB製造部門があり、動力補助部門のサービスを利用している場合を考えてみよう。A製造部門の動力サービスの利用量が前月と同じであっても、動力補助部門からA製造部門への配賦額が増加することがある。その理由のひとつに、B製造部門の動力サービスの利用量が前月よりも大幅に減少したため配賦基準の総数が減少し、A製造部門とB製造部門とによる動力サービスの利用量の総数が減少して補助部門費の配賦率が上昇したことが考えられる。これに対して、複数基準配賦法では、補助部門費を配賦する際に固定費と変動費で負担割合を変えることで、より正確な配賦計算を行うことができる。<例題7-6>でその意味を理解してほしい。

7-6 7-8
Copyright (C) 2005 Konan University All Rights Reserved.