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原価計算 | 河野充央 |
第12章 営業費計算
12-1 営業費の意義と営業費会計の概念 |
営業活動を販売活動と捉えれば、営業費とは、販売活動に直接的に関連するコスト、すなわち、販売費を意味することになる。しかしながら、一般的には、以下のように、より広義に解釈される。
つまり、営業費とは、製造業であれば、完成品が製品として倉庫に保管された時点から、それが販売され、現金として回収されるまでのプロセスで発生する費用のすべてをさす。また、卸・小売業のような販売業の場合であれば、商品を仕入れた時点から、同様に、それが販売され、現金として回収されるまでのプロセスで発生する費用のすべてのことである。
営業費は、マーケティング・コスト(marketing costs)、あるいは、配給費(distribution costs)ともよばれているが、一例として、つぎのように体系づけることができる。
また、営業費会計は、営業費財務会計と営業費管理会計に分解できる。営業費財務会計は、企業外部の利害関係者に決算報告を行うのに必要な営業費資料を、収集し、加工し、報告する領域であり、決算会計と税務会計との2分野がこれに属する。営業費管理会計は、企業内部のトップ・マネジメントがマーケティング管理を行うのに必要な営業費資料を計画し、統制する領域で、営業費計画会計と営業費統制会計とからなる。前者は営業費の生産性分析ないしは営業費分析、後者は営業費の予算管理と標準原価管理を内容とする。また、セグメント別営業費管理も営業費管理会計の領域である。
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