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原価計算 上埜 進
第13章 戦略的原価計算

13-10  ライフサイクル・コスティング

製品が企画・開発されてから廃棄されるまでの製品ライフサイクル全体を通して発生するコストをライフサイクル・コスト(life-cycle costs)と呼び、それを集計することをライフサイクル・コスティング(life-cycle costing)という。

(1)製品のライフサイクル・コストの特性

製品ライフサイクルを、(1)研究・開発・設計から試作、生産準備(research development & engineering, RD&E)、(2)製造、(3)使用・維持、(4)廃棄・処分といったフェーズに分けると、各フェーズでのコストの発生を図表13-4のように描くことができる。

図表13-4 フェーズ別のライフサイクル・コストの発生

(2)ライフサイクル・コストの負担者

製品ライフサイクルの視点に立つと、企業サイドで支出する原価以外に、購入後にユーザーが支出する原価や費用、さらには社会コストが観察できる。製品のライフサイクル・コストは、発生主体と負担主体という視点から見ると、(1)RD&E費、製造原価、販売費・一般管理費のように企業内部で発生し、支出も企業が行うが、負担を価格(顧客)に転嫁する部分、(2)使用・維持コストや廃棄・処分コストのように購入(販売)後に発生し、ユーザー(購入者)が支出・負担する購入後コスト(post-purchase costs)ないしユーザー・コスト、および(3)水質汚濁や空気汚染のような外部不経済になっており、負担を地域社会に転嫁している社会コスト(social costs)に区分できる。これを表したのが図表13-5である。企業の内部プロセスで発生するコストは価格に転嫁されるので、実質的な負担者はユーザーである。

図表13-5 ライフサイクル・コストの分解

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