人間の見ることの出来る(感知できる)光はごく限られています。波長では400nmから800nmの光を感じることが出来ますが、それよりも外側、つまり紫外線より短い波長の光も赤外線よりも波長の長い光も見ることが出来ません。私たちは、光のある世界を、つまり我々の見える風景を色彩豊かな光の情報で知ることが出来ますが、これは私たちの目に届く光の波長の違いを私たちが色として感じているのです。太古より、色で物質を見分けようという試みは数多く行われてきましたが、このことは、私たちがこれから学ぶ吸光光度法が早くから発展してきた理由でもあります。
吸光光度法の特徴
この方法は呈色溶液(色を発色させた溶液)、または測定したい成分との反応によって生じた呈色化合物溶液に光(可視領域を中心に約350〜800nm)を当て、分子軌道電子の励起に基づく呈色化学種の吸収を、その吸収極大波長で測定し、その強度から定量分析を行う方法です。定性分析には用いませんが特異的、選択的な発色反応を肉眼で観察して溶液の中に自分が探している物質があるかどうかを調べることができます。
吸光光度法の長所
吸光光度法は定量操作や使用機器が比較的簡単であり、感度が比較的よく精度も高いので、微量無機・有機成分の定量に適しています。又、機器を用いる分離分析の検出にも利用されることが多々あります。
短所は?
適当な発色試薬のないアルカリ元素などには不適とされていましたが、この問題はクラウンエーテルの発見等試薬の開発によって解決されています。一般に化学的前処理操作(試料の分解、妨害成分の分離やマスキング、発色反応など)を行う必要がありますが、これが最も化学的な分析法といわれる所以でもあります。