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環境計測のための機器分析法 茶山健二
3章 蛍光分析 物質を光らせる
3-1  はじめに
 物質は光を吸収して分子軌道電子が励起状態に励起されても、多くの場合は熱を放出することによって基底状態に戻ります。しかし、ある物質は、あるエネルギー状態を経て光を放つことが知られています。この光を検出することによって物質を定量しようという分析法が蛍光分析法です。
蛍光分析法の原理
 蛍光物質,または定量成分に蛍光試薬を反応させて生じた蛍光化合物の溶液に,紫外線を当てて分子軌道電子を励起し,その電子が最低の励起状態から基底状態へ再び遷移するとき発する蛍光を測定します。その強度から定量分析ができます。また蛍光の有無,色調から鉱物などの定性分析ができます。
蛍光分析法の特徴
 定量操作,使用機器は吸光光度分析に類似し,感度はそれより高く選択性もよいのが特徴です。極微量の無機成分や,共役系をもつ有機成分の定量,検出に適しています。
短所は?
 適用成分が限られており,吸光光度分析同様,種々の化学的前処理が必要です。また操作にやや熟練を要し,検量線の直線範囲が狭いのが欠点であるかも知れません。
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