(2) 蛍光光度検出器
蛍光光度検出器には,キセノンランプを光源とするものとレーザーを光源とするものがあります。研究の初期において通常のキセノンランプ励起の蛍光光度計を改造したものが検出器として用いられていたが,現在では研究のほとんどはレーザー励起蛍光検出法で行われています。これはレーザーの優れた指向性,集光性が微小体積で検出を行うキャピラリー電気泳動法に適しており,また単色であることから散乱光をフィルターなどで除去しやすいという利点を有しているためです。キャピラリーの内径は先に述べたように100μm以下ですが,レーザーは容易に数十から数μmまで集光することが可能です。
オンカラムでのレーザー励起蛍光検出器の基本的な構成を図6・5に示しています。
図6・5 レーザー励起蛍光検出器の基本構成
レーザー励起蛍光法では,励起光の散乱光を減少させることが感度向上のためのもっとも重要な因子です。通常,散乱光を減少させるためにキャピラリーは光源,検出器のそれぞれに対して15°程度傾けた配置で固定されます。さらにピンホールとフィルターを光電子増倍管の前に置き,散乱光を除去した後に,蛍光のみ光電子増倍管で測定します。この方法により10-9M程度の検出限界は容易に達成することができます。光源として用いられるレーザーはアルゴンイオンレーザー(488nmまたは514nm)が一般的ですが,その他にもヘリウムカドミウムレーザー,ヘリウムネオンレーザー,半導体レーザー,チタンサファイヤレーザーなどが用いられています。レーザー出力は数mW〜数十mW程度で十分です。