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環境計測のための機器分析法 茶山健二
7章 クロマトグラフィー 流れで分離する
7-1  はじめに
(1)  原理
 試料成分は固定相と移動相への分配を繰り返しながら固定相中を移動しますが、各成分によりその分配の割合が異なると、固定相中の移動速度に差を生じ、各成分は分離されます。クロマトグラフィーは、移動相が気体のガスクロマトグラフィーと、移動相が液体の液体クロマトグラフィーに大別されます。各成分の定性分析はRf値や保持値で、定量分析はスポット面積やピーク面積などで行われています。
(2)  特徴
 ガスクロマトグラフィーは熱的に安定な揮発性物質の分析に適していますが、難(不)揮発性物質の分析には直接適用できません。ガスクロマトグラフィーは分離能が高く、高感度で迅速、簡便です。液体クロマトグラフィーは逆に、難(不)揮発性物質(適当な溶媒に可溶)の分析に適しています。クロマトグラフィーは多成分混合試料の分離分析に特に威力を発揮し、他の分析法の前処理としても非常に重要です。

 1906年にTswettが植物色素の混合物からクロロフィルの分離に成功したのがクロマトグラフィー(chromatography)の最初といわれています。その後、1952年にMartinらによってガスクロマトグラフィーが発表され、その簡便性と迅速性のために、ガスクロマトグラフィーは急速に進歩しました。その進歩した成果が液体クロマトグラフィーに導入され、高速液体クロマトグラフィーへと発展してきました。現在、ガスクロマトグラフィーと高速液体クロマトグラフィーがクロマトグラフィーのなかで重要な地位を占めています。 クロマトグラフィーは試料中の混合成分をそれぞれの成分に分離しながら定性、定量を行う分離分析法の一つで、種々の分野で広く利用されています。定性分析はRf値や保持値で、定量分析はスポット面積やピーク面積で行われています。
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