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modern chinese economy
はじめに
担当:甲南大学 青木浩治 藤川清史


 中国は2001年12月に懸案のWTO加盟を果たしました。しかしそれはわれわれの予想を超える大きな衝撃を与えたようです。具体的には、2000年後半から対中国直接投資ブームが再開するとともに、2002年において中国の貿易、特に対米輸出が顕著に増加しました。そのため中国の対米輸出は同年において日本を抜き、中国はアメリカにとってカナダ・メキシコに継いで第三番目の輸入先に躍進しました。また、日本でも同様のことが起こっており、2002年において中国はアメリカを抜いて日本の輸入先第一位に躍り出ています。そして東アジアでは多くの国において対中国輸出が対日輸出を上回るか、もしくは上回りつつあります。

 しかしこの中国のWTO加盟は、中国の貿易だけでなく国際収支の大幅黒字をもたらしました。また、米国経済の不振と世界的なドル安傾向の中で、中国人民元切り上げ圧力がにわかに台頭しています。この章では中国の為替レート制度ならびに国際収支の特徴を概説し、あわせて近年起こっている(また今後とも起こりうるであろう)人民元の切り上げ問題について解説します。なお、この章は技術的用語がたくさん登場するため、理解が難しい面が多いと考えられます。そのため、予めもしくは平行してコラムを参照して下さい。そこにおいて幾つかの基本的用語・概念を説明しています。

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