human and environment
1-2-2. 環境権と日本国憲法
- 環境法・環境政策 -  大久保 規子

ステップ1 憲法上の環境権
日本国憲法には環境権という言葉は見あたりません。でも,憲法25条と13条から環境権が導かれると考えられています。

(25条1項)環境権の社会権的性格
「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」。
→ 人間としての尊厳を保持し,文化的に生存するためには,公権力による積極的な環境施策が必要である。

(13条)環境権の自由権的性格
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」。
→ 国家が公共事業等により環境を破壊する場合に,これを排除する必要がある。


ステップ2 法律・条例上の環境権
環境基本法は環境権を明示的に規定しませんでした。でも,川崎市や大阪府は,条例により,環境権について定めています。

川崎市環境基本条例第2条
「市の環境政策は、市民が安全で健康かつ快適な環境を享受する権利の実現を図るとともに、良好な環境を将来の世代に引き継ぐことを目的として展開するものとする」。


ステップ3 考えてみましょう −具体的・個人的権利としての環境権−
例えば,家の隣に飛行場が建設される場合,私たちは環境権を根拠にして,その建設差止めを求めることができるでしょうか?

1-2-3. 環境権をめぐる判例と学説の動向 →