human and environment
1-2-3. 環境権をめぐる判例と学説の動向
- 環境法・環境政策 -  大久保 規子

ステップ1 判例の動向

残念ながら,裁判で主張できる具体的な権利として,環境権を明示的に認めた判決はありません。

逆に,環境権を明示的に否定した判例は少なくありません。有名な大阪国際空港(伊丹空港)事件でも,環境権を根拠にして,飛行機の離着陸の差止めを求めることはできないと判示されました。

環境権をより具体化した「個別的環境権」についても,裁判所は消極的な態度をとっています。

   琵琶湖総合開発訴訟 → 浄水享受権を否定
   京都ホテル建築工事事件 → 歴史的環境権を否定
   長浜町入浜権訴訟 → 入浜権を否定


ステップ2 考えてみましょう −環境権論の問題点−
それでは,なぜ裁判所は環境権を認めないのでしょうか。裁判官になったつもりで,いくつかの理由を考えてみて下さい。


ステップ3
どのようにすれば,環境権を具体化することができると思いますか。