マーケティング管理論
企業の経済学

 製品価格の設定方法には、市場形態によっていくつか分類されます。
 最もオーソドックスな価格設定は、多くの企業が存在し競争している、いわゆる完全競争市場におけるものです。
 完全競争市場では、どの企業も価格に対して影響を及ぼすことはできないので、各企業は市場価格 価格決定メカニズム]をあらかじめ決められたものとして受け入れなければなりません(=プライステイカー)。
この場合、企業の選択は、生産数量の調整に向けられます。
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 企業が市場において独占的な支配力を持つ時には、数量と価格の両方を同時に設定することができます。単一企業が市場を支配している場合や製品差別化によって事実上独占と同様の状況下にある場合は、生産の1単位追加により実現する収入(=限界収入)が、生じる費用(=限界費用)を上回る限り、生産を増加させ、限界収入と限界費用が等しいところまで生産されます。
この時の価格設定は、こうして決まった生産数量がすべて売り切れるように、市場の需要を考え合わせて決められます。
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 いくつかの企業が支配力を持つ寡占では、平均費用に利潤を上乗せしたマークアップ価格形成原理と呼ばれる価格設定が行われます。
わが国では、マークアップで価格が設定されることが多いようです。

(大塚 晴之)