企業の諸形態 経営管理論

 法律的に会社は次の4つに分類されます。分類のキーは、出資者の責任の範囲です。日常用語とは違いますが、法律上、出資者のことを「社員」と呼びます。出資者が会社の債務・損失に対して自己の出資額についてだけ責任を負う有限責任社員か、あるいは出資額を越えて個人の全財産をもってでも責任を負う義務がある無限責任社員かで、次のような企業形態に分類されます。

合名会社 出資者(2人以上)が全員経営上の無限責任を負う。
合資会社 出資者には,無限責任社員と有限責任社員の両方を含む。無限責任社員が主に経営を担当。有限責任社員は出資するだけでほとんど経営に参加せず、自己の出資額についてだけ責任を負う。
有限会社 出資者は全員出資額を限度とする有限責任のみを負う。出資者の数は50人以下。株式の発行や出資者の公募はできず、人的な信頼関係を重視した会社。
株式会社 出資者は全員有限責任で、出資者の数は制限なし。株式を発行 株式会社の仕組み]し、社会の不特定多数の個人から資金を調達できる。

 わが国では株式会社と有限会社が圧倒的に多数ですが、名前をよく知っているような大企業はほとんど株式会社で、有限会社はごく小規模な企業に多くなっています。

 わが国の事業組織には上の4つの会社組織の他に、政府や地方自治体が設立する国営企業や公営企業、生命保険会社に一般的な相互会社、生協や農協に代表される組合企業があります。これらの事業組織と会社組織との違いは、会社が営利を追求するものであるという点です。電電公社、国鉄、専売公社など政府の国営事業が近年、株式会社になりましたが、営利組織となることで、組織の活性化や効率化を期待したものです。
(馬場 大治)