経営管理論 |
株式会社の特徴として、出資者の有限責任制[ 企業の諸形態]、資本の証券化、重役制度の3つがあげられます。 株式会社に対する出資は、発行された株式を取得するという形で行われます。このように資本が証券化することで、出資した権利は、株式を売買するだけで他人に簡単に譲渡できるようになります。そのため株式会社への出資は他の会社形態よりも簡単です。 例えば、いくらかの資金を持っていて、それを増やすための投資対象を探しているとします。その際、この投資で多くの利益をあげることはもちろんですが、将来必要な時にできるだけ簡単に元のお金の状態に戻る事も重要なポイントです。企業に投資された資金は、生産設備の購入などに使われるため、その企業が続く限り固定的に利用されますので、元のお金の形に簡単には戻りません。つまり、企業に対する出資は、お金を出す側とそれを利用する企業の間で矛盾した欲求が存在していることになります。しかし、資本が証券化し、企業に出資した権利を株式の形で自由に売買できることで、この矛盾を解消し、いつでもお金に戻すことが可能です。また、有限責任制により株主は出資した以上の責任を取らされることがないので、より多くの人が安心して出資できるようになります。 株式会社は、広く社会の不特定多数の個人から資金を調達する結果、出資者である株主の多くは、企業経営に直接関与せずに、株式所有による利益だけを望むことになります[ 所有と支配の分離]。したがって、企業は株主たちによって経営を委託された企業の幹部達、すなわち重役によって運営されます(=重役制度)。ただし株主は、株式総会において重役を選任したり、決算を承認することなど、その企業の経営をチェックする権限が与えられ、所有者の権利が保証されます。 |
(馬場 大治) |