信用取引 財務諸表論

 企業の取引は、現金決済による取引信用にもとづく取引(=信用取引)とに分けられます。現在の企業取引は信用取引が主流になっています。

 信用取引とは、不特定多数の取引先と1回限りの取引をするのではなく、特定の取引先と継続的・反復的に取引を行うことにより、企業間で次第に育ってくる相互信頼にもとづいて成立するものです。したがって、設立間もない企業や信用の乏しい企業、あるいは評判の良くない企業に対しては信用取引は成立しません。具体的には、掛による売買や手形による決済などが代表的です。信用取引を行うことにより、法律上は売掛金や買掛金、受取手形や支払手形といった債権債務関係が生じることになります。もちろん、信用取引は、現金決済による取引に比べて資金回収上のリスクやコストが高く、また支払期間の長短に応じて相応の利息が上乗せされるなど、現金取引に比べていろいろ不利な面もあります。しかし、銀行を中心に確固とした信用システムが構築されているこんにちでは、日々の小規模な取引についてはともかく、通常はほとんどが信用取引となっているのが現状です。
(伊豫田 隆俊)