財務諸表の概要 財務諸表論

 企業が自社の財務内容を明らかにするため、会計記録にもとづいて定期的に作成し、公表する会計報告書を財務諸表(Financial Statement:F/S)と呼びます。わが国の企業会計原則では財務諸表として、損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書、財務諸表附属明細表および利益処分計算書があります。財務諸表には、個別企業ごとに作成される個別財務諸表と、支配従属関係にある複数の会社から成る企業集団を単一の組織体とみなして作成される連結財務諸表があります。これまで我が国は、前者が基本財務諸表として位置づけられ、後者は付随的なものとして取り扱われてきました。しかし、企業会計原則が改正され、国際的な動きに合わせて、連結財務諸表が基本財務諸表と位置づけられるようになりました。

 財務諸表は、資本の管理運用を任された経営者が、任せた側である株主や投資者などの資本提供者に対しての受託責任を解除するための手段とされる一方、企業の社会的性格の高まりによって、投資者、債権者、従業員、一般消費者、地域住民といった広い範囲の利害関係者に企業内容を開示し、意思決定に有用な情報を提供する手段として利用されます。
(伊豫田 隆俊)