過剰在庫 管理会計

 企業は消費者のニーズに対応できるように一定量の商品や製品をつねに保有しなければなりません。商品や製品の在庫量が少なすぎると頻繁に品切れを起こしてしまい、顧客のニーズを満たすことができなくなり、顧客を競争企業に奪われてしまうかも知れません。反対に、在庫量が多すぎる(=過剰在庫)と、それを保有するためのコストが高くつきます。

 在庫が多すぎる場合には、在庫維持費用、例えば倉庫料、金利、保険料、税金それに陳腐化損等が発生します。それだけでなく、運送費、通信・連絡費および書類作成費などの発注費用や、品切れを原因とした弁償費用などの品切れ費用も発生します。こうしたコストの発生を避けるために、在庫量を減らす場合には、在庫が少なすぎて顧客の需要に応じられないという問題の他に、1回の発注量が少なくなる代わりに発注回数が増加するという事態が起きますから、これに対する適切な配慮も必要になってきます。

 一般に、景気後退期には需要が減少して在庫が増加し、企業収益を圧迫するという場合が多いので、とくに不況時における適正な在庫管理は企業にとってきわめて重要な課題となります。
(伊豫田 隆俊)