競争構造 経営戦略論

 企業の事業は、さまざまな競争にさらされて運営されています。事業の長期的な収益率は、その業界の競争の状況によって規定されます。例えば多くの競争者が存在する競争の激しい業界では、あまり高い利益率は期待できませんし、競争者の数が少なければ、大きな収益率が期待できます。

 競争戦略について初めて体系的な議論を展開したポーター(Michael E.Porter)は、 グラフへ 図で示されるような業界の競争構造を分析する基本的な枠組みを示しています。

 「新規参入の脅威」とは、その業界に参入することの難しさ、参入障壁の高さによって決 まってきます。
具体的にこれを決定付ける要因として、以下の7つがあげられます。
  1. 規模の経済性
2. 製品差別化
3. 巨額の投資
4. 仕入先を変えるコスト
5. 流通チャネルの確保
6. 規模とは無関係なコスト面での不利
7. 政府の政策

 「業界間の敵対関係」は、次の状況で厳しさが増すことになります。
  1. 似通った規模の会社がひしめいている
2. 市場の成長が遅い
3. 固定費あるいは在庫コストが高い
4. 製品差別化がないか、買い手を変えるのにコストがかからない
5. 生産キャパシティーを小刻みに増やせない
6. 競争業者がそれぞれ異質な戦略をもつ
7. 戦略が良ければ成果が大きい
8. 撤退障壁が大きい

 「代替製品・サービスの脅威」とは、現在の製品と同じ機能を果たせる他の製品の出現のこ とです。注意する点は2つです。
  1. 現在の製品よりも価格対性能比がよくなる傾向を持つ製品
2. 高収益を上げている業界によって生産されている製品

 「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」は、取引相手の状況を指しています。買い手独占や 売り手独占のように相手に対する依存度が高いほど交渉力は弱くなります。

(馬場 大治)