多角化戦略 経営戦略論

 企業が事業活動によって外部に販売する製品分野、市場分野が多様化することを多角化とい います。企業の多角化には、次のような3つの理由があげられます。

企業の多角化の理由
1. シナジー効果
 企業が複数事業を行うことで生じる相乗効果のこと。既存の事業のマーケティングシステム、ブランドを利用することにより生じる販売シナジーや生産技術・生産設備を利用することにより生じる生産シナジー、経営管理上のノウハウを利用する事により生じる管理シナジーがある。

2. リスクの分散
 複数の事業を行うことで、ある事業が不調になっても他でカバーすることが可能となり、リスクを削減できる。

3. 成長のもたらす経済的メリット
 成長することで、それまでの事業活動で蓄積されたが利用されなかった資源が有効利用されることになる。また、成長することで昇進・昇給や各種のフリンジベネフィットを得る機会が増え、組織内の人々にインセンティブを与え、より大きな貢献意欲を引き出せる。ただ、このメリットは多角化によってのみ生じるものではないが、既存の事業が成熟化し、成長を望めない時には多角化を通じた成長を図らなくてはならない。

 多角化の方向を大きく分類すると、既存の事業の技術や市場と何らかの関係のある分野に進 出する関連型多角化と、全く関係のない分野に進出する非関連型多角化に分類できます。関連 型多角化は多くのシナジー効果が期待でき、より大きな収益率を上げ、成功する可能性が高い といわれています。一方の非関連型多角化は、シナジー効果はあまり期待できませんが、リス ク分散の効果はより多く期待できます。

(馬場 大治)