製品ポートフォリオマネジメント(PPM) 経営戦略論

 ポートフォリオとは本来証券投資の用語で、いくつかの証券の組み合わせの意味で用いられていました[ ポートフォリオ理論]。それが転じて、経営戦略に関連して企業が保有する事業の組み合わせの意味でも用いられています。

 企業が保有する製品や事業のポートフォリオをどのようなものにするべきかという問題は、企業の戦略策定にとってきわめて重要な問題ですが、それを分析するためのツールとしてボストン・コンサルティング・グループ(BCG)というシンクタンクが考えた「製品ポートフォリオマネジメント」が有名です。事業を当該製品の市場の成長性とその製品の市場シェアの2次元で評価します。そしてこの2つの評価基準のそれぞれに関して、より高いもしくはより低いの2つに分けることによりそれぞれの事業を図のように、 グラフへ2×2の4種類に分類することができます。

「金のなる木」 市場シェアが高く、市場成長率は低い事業で、成熟した事業において競争に打ち勝つことに成功している事業。その結果この事業は、あまり追加投資を必要とせず、大きな利益を上げている事業のため、この状況を維持しながら多くの投資を必要とする将来有望な事業の資金源となる。
「花形商品」 市場成長率も市場シェアも高く、今伸び盛りで、現在は競争力を持っている事業。現在の競争力を維持し、将来「金のなる木」になるように資金を投入し、育てていく必要がある。
「問題児」 市場成長率は高いが市場シェアが低い、将来の可能性は秘めているが、現在は競争力に欠ける事業。投資を続け「花形商品」から「金のなる木」へと育てるのか、この時点で撤退するのかを決めなくてはならない。
「負け犬」 市場シェアも市場生長率も低く、現在も将来も資金源となるとは考えられないので、撤退する方向で戦略を考える。

 ポートフォリオ全体としては、資金源として「金のなる木」がいくつかあることは重要です が、それだけでは将来この事業の製品のライフサイクルが衰退期に入った場合、企業もそれと ともに衰退していくことになります。将来に備えて、「花形商品」や「問題児」もいくつか抱 えている必要があります。そしてこれらの事業を、現在の「金のなる木」から得られた資金を 使って、将来の「金のなる木」に育てていくことが大切です。

(馬場 大治)