財務諸表論 |
企業には、その外部および内部に数多くの利害関係者が存在します。例えば企業外部の利害関係者として、株主、投資者、債権者、取引先それに消費者といった人々が存在します。これに対して、経営者や従業員は企業内部の重要な利害関係者といえます。 これらの人たちは、企業との関わり方いかんによっては、大きな経済的影響を受ける可能性がありますから、つねに企業の状況や動向を把握しながら、その関り方を決定する必要があります。しかし、とくに企業外部の利害関係者にとっては、意思決定のための十分な企業情報がいつも簡単に手に入るとは限りません。意思決定に役立つ企業情報がなければ、利害関係者は企業と取引を行ったり適切な関係を保つことはできません。例えば、株式の売買や企業資金の貸付、信用取引などが円滑に行えなくなることもあります。場合によっては、企業と関わること、つまり取引すること自体を断念してしまうこともあります。 |
こうした状況をそのままにしておくと、企業は効率的な経済活動ができなくなり、その結果、産業の発展も損なわれるため、企業外部の利害関係者への情報提供を法的に義務づけることが必要になります。このような法律による強制的な企業情報の公表を一般にディスクロージャーと呼びます。多くの先進主要国では古くから実施されており、わが国でも商法と証券取引法とゆう2つの法律が、情報公開に関する様々な法規定を設けています。 |
(伊豫田 隆俊) |